皆さん、ご自分の日本語力について考えたことはありますか?今このコラムを読んでくださっている人は「日本語が話せますか?」と聞かれたら自信をもって「話せます」と答えると思います。もしこれがスポーツだとしたら、皆さんの日本語力はオリンピック選手並みといってもいいかもしれません。というのも、皆さんが自分の日本語の成熟にかけた時間と労力を考えてみてください。生まれてから今までほとんどずっと毎日のように何時間も日本語を読み・書き・聞き・話してきたでしょう。仮に、小さなころからこの時間と同じだけを、あるスポーツにつぎ込んだと思ってください。オリンピックに出場できるレベルの選手になってもおかしくないはずです。
日本人で英会話を学んでいる生徒さんの多くは、自分の英語を自分の日本語と比べてしまい「私の英語は全然だめだ。」と思ってしまっています。先ほど話した通り、我々の第一言語である日本語はスポーツで言うとオリンピック選手並みです。思ったことを即座に的確に文にして発話することができます。第二言語になると、やはりスピードも正確性も劣るでしょう。そこで「私の英語は全然だめだ。」となってしまいます。しかしこれは比べる相手が間違っていませんか?
第二言語の習得は第一言語の習得と比べるとはるかに短い時間でできますが(これについてはまた別のコラムで)それでも第一言語と同程度の第二言語力を目指すなら相当な時間と労力を必要とします。語学取得もスポーツを習得することと同じようなもので、目指すレベルも様々です。スポーツでいうとオリンピックに出るレベルを目指すのか、健康のため、ストレス解消のためなのかといった風に語学習得でも、国際弁護士を目指すのか、海外旅行で少し使えればいいのかなどいろいろです。スポーツを始めるときに全員がオリンピックを目指すわけではありません。また、オリンピックに出られなければスポーツをやる意味はないとは思わないでしょう。語学習得も同じです。国際弁護士としてバリバリやって行こうと思うなら、第一言語並みの英語が必要ですが、旅行で少し使いたいだけなら、健康のために楽しくテニスをすることと同じようなものです。気楽に続けていればそれほど難しいことではありません。
「英会話なんて私には無理だ!」と思っている人の多くは、無意識に第一言語と比べてしまうことで最初からとても高いハードルを設けてしまっている人が多いと思います。目標によって難易度は様々です。新しいスポーツを始めるのと同じ感じで英会話を始めてみてはいかがでしょう。あまり肩に力を入れずにできる間もしれませんね。
付け足すなら、いい指導者に出会うことが大きなカギになることもスポーツと同じで大切です。